堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

3.取材させてください

 エレン・フランシス、十六歳。バーデールからの留学生。というのが、エレオノーラに与えられた名前だった。微妙に隠しきれていないように感じるのだが、全てはダニエルの意向であるため、エレオノーラが反論する余地は無い。

「バーデールからの留学生、エレン・フランシスさんです」
 担任の先生に促され、エレオノーラも「エレン・フランシスです」と自己紹介をすると、パチパチと乾いた拍手が起こった。

 エレオノーラの潜入先は二学年の特別クラスといわれているこのクラスだ。
 この特別クラスは何かしら秀でた能力を持つ者たちが集められているクラスらしい。

「エレンさんの席は、そこの空いている席です」

 特別クラスであるからか、生徒の人数も十五人程度しかいない。席も五列かける三行になっているのではなく、ゆるやかな半円の弧になっていて横に並んでいる。
 エレオノーラの席は、その一番右端だった。一つ席を足すのであれば端っこに足すのが普通なのだろうが。

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