堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます
「エレオノーラ嬢、突然、お邪魔して申し訳ない」
 大きな花束を抱えたジルベルトが立っていた。
「私は、第一騎士団団長のジルベルト・リガウン。先日、任務先でお会いしたのだが、覚えているだろうか」

「はい、リガウン団長。私が、第零騎士団諜報部のエレオノーラ・フランシアです」
 エレオノーラは裾をつまみ、背筋を伸ばして礼をする。優雅な挨拶。
 だけどダニエルは、そこで所属は言わなくていい、と心の中でツッコミをいれた。そのツッコミがエレオノーラに届くことはない。

「先日の窃盗団の密売の件は、エレオノーラ嬢のおかげで無事に解決した。ありがとう。ずっと、礼を言いたいと思っていた」

「いえ、それには及びません。それが私の仕事ですから」
 エレオノーラは恥ずかしくなり、少しはにかむ

「だが」
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