堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

13.子どもの時間です(3)

 なんでここにいるんだっけ。とエレオノーラは思っていた。
 演劇部の卒業公演は無事終了、満員御礼の大盛況。短期留学生であるエレンは、そこで演劇部としての活動は終了となった。ときどき遊びに行く程度、ということでたまに演劇部の練習を覗きにいっている。ジェイミは役者ではなく、そのまま舞台監督としての才能を発揮している。クリスのサポートをしながら演劇部全体を取りまとめているらしい。彼女がそういった力を皆に知らせることができるようになったのも、エレオノーラのおかげかもしれない。

 それにしても、とエレオノーラはお茶を一口飲みながら思った。なぜ、彼が目の前にいるのだろう? ニッコリと笑顔を浮かべているその表情は、何かしら企んでいるようで怖い。

「あれ? そのお茶はエレンさんの口に合わなかったかな」
 目の前の彼が不敵な笑みを浮かべている。

「いえ、とても美味しいです」

「そう。なら良かった」

 エレオノーラの向かい側に足を組んで優雅に座っているのは、間違いなく生徒会長のアレックス。まあ、ここが生徒会室であるため、それは仕方ないのだが。

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