堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

15.卒業パーティです

「エレンをこのようにエスコートできるなんて、夢のようだよ」

「今日はお付き合いいただき、ありがとうございます、お義父さま。ですが、今日は小父さまと呼ばせていただきます」

「ああ、呼び方は大して気にしないから好きなように呼んでおくれ」

 とうとうきてしまった卒業パーティの日。何も起きないわけがない卒業パーティ。
 エレオノーラの隣には、ジルベルトによく似たリガウン侯爵。リガウン侯爵もまんざらではないらしい。その顔がそう言っている。
 そして見知った顔に出会うとエレオノーラを自慢している。学院関係者は彼女のことを留学生であると認識しているため、リガウン侯爵もそのように振舞ってくれる。第零騎士団の任務は、家族も巻き込むようだ。

 エレオノーラの目の前に、百八十を超える身長を持つオールバックの男が現れた。間違いなく今日の警備責任者であるジルベルト。ジロリとこちらに向ける視線が怖い。ついつい義父と組んでいる腕に力が入ってしまった。

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