堅物騎士団長から妻に娶りたいと迫られた変装令嬢は今日もその役を演じます

16.狙われているようです

 休憩室に入ってきたのは、男性五人。見るからにこの学院の男子生徒ではない。
「おやおや、こんなところにいたのですね。探しましたよ、ベルニス・ノアイユ」

 知ってる人? とエレオノーラが尋ねると、ベルニスは力いっぱい首を横に振る。

「そんなに怯えないでください。私たちと一緒に来てもらえれば、あなたには何もしませんから」

 本当に何かが起きたパーティ。
 そう思いつつも、すっとエレオノーラは立ち上がり、ベルニスを背中で隠した。
「あの、どちら様でしょうか? 彼女はあなたたちのことを知らないと言っております」

「勇ましいお友達ですね」
 多分、先ほどから口を開いているこの男がこの五人のリーダーだ。そして相手が五人もいる、ということはエレオノーラにとっても分が悪い。今、一人で攻撃態勢に入ったとしても、ベルニスは必ず巻き込まれる。どの順番で攻撃を仕掛けるかということを、瞬時に脳内シミュレーションを行ったが、考え付いた四パターンとも、全てベルニスが人質になるという結論に至る。
 ということは、ベルニスと一緒に彼らに捕らわれて、彼らのアジトを探った方がいいのかもしれない。何しろ今日は()()がある。

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