溺愛結婚は突然に〜ホテル王から注がれる、溢れるほどの愛〜



「面白かったですね」


「あぁ。前評判通り結構怖かったけど大丈夫だった?」


「はい。優吾さんのおかげです」


「怖いシーンになると手に力入るから、結構面白かったよ」


「ちょっと、面白いって映画の話じゃなくて?私のことですか?」


「ははっ、冗談だよ。映画は本当に面白かったし、紅葉が可愛かったって話」


「……もう……」



優吾さんはウィスキーをロックで、私はジントニックを飲みながら、面白かったところや怖かったところ、ストーリーの考察などを二人で語り合う。


盛り上がる会話に比例するようにお酒も進んだ。



「感想をこうやって共感できて嬉しいよ」


「私もです。実は映画観た後の余韻を誰かと共有するのが好きなんです」


「わかる。俺もそうなんだよ。でも結構嫌煙されたりしない?」


「そうなんです。友達は逆に一人でゆっくり余韻に浸りたいタイプみたいで、誘っても一緒に行ってくれないんです」


「そうそう、俺もそんな感じ」



新たな共通点を見つけ、会話も弾み楽しい時間を過ごす。



「そういえば、お仕事は落ち着いたんですか?」


「今のところ少しだけね」



Euphoria Resortsが業績不振の企業を吸収合併したニュースが大々的に報じられたため、新しく手がけるホテルの情報も連日報道されている。


どうやら東京の他にも各地でホテルを経営していたらしく、それらを全てE.R系列に名前を変えるらしい。


どんなホテルになるのか、私も今から楽しみだ。



「プレオープンも予定してるから、その時には紅葉を招待するよ。一緒に泊まろう」


「ふふっ、そういうのを職権濫用って言うんですよ?」


「いいだろ。そういう時しか使えないんだから、存分に利用させてもらうよ」



なんて、冗談を言い合う。


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