オトメは温和に愛されたい
「思っても、いいの?」

 ねぇ、温和(はるまさ)。私、アナタのお嫁さんになりたいと願っても……許される、の?

「俺、お前に俺の彼女になれって言ったよな? ――お互いの年齢(とし)考えたら、普通それ前提だろーが」

 ちったぁ言われなくても分かれ、バカ音芽(おとめ)と付け加えられて、私は思わず彼の横顔をじっと見つめてしまう。

「言ってくれなきゃ……分かんないよ。――だって私、バカだもん」

 温和(はるまさ)の口癖を逆手にとってそう言い返しながら、私は思わず涙をポロン……とこぼしていた。


***


 その頃には車は学校の敷地内に入っていて。

 教職員用駐車場の一角に車を停めると、温和(はるまさ)が私の手をギュッと握ってくる。

「――何で……泣いてんだよ」

 私の顔を心配そうに覗き込んでくる温和(はるまさ)がカッコ良すぎて。

 私はますます気持ちが高揚して困ってしまう。

「嬉し、かったの……」

 温和(はるまさ)を見つめ返しながら。私は一生懸命涙の理由を語った。

「そんなこと思ってないって……嘘ついてごめんなさいっ。本当は……心の片隅でずっとずっと夢見てた。小さい頃、温和(はるまさ)が言ってくれた言葉が生涯有効だったら良かったのに、って」

 気持ち悪くてごめんね。温和(はるまさ)は覚えてないことを持ち出して、こんな……。

 消え入りそうな声でそう付け加えたら、温和(はるまさ)がいきなり頭を下げてきて。

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