リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
『人間は欲張りだ』色んな人に言われた。その意味が分かった気がする。

会えば会うたび、先輩への“好き”が募っていく。


『そばにいられればいい』なんて、やっぱり綺麗事に過ぎないんだ。


「……大友先輩。私、この表の在庫があるか本棚チェックしてきますね」

いつもと違う様子の大友先輩と一緒にいるのはなんとなく居心地が悪くて、私は席を立った。


……でも私は、南先輩が自分の生活から消えてしまうのを、まだ考えたくはない。

——こんな関係だとしても、やっぱり、先輩の隣にいたいんだ。


スミレの花言葉は、“謙虚” “誠実”。

こんなふうに育ってほしい、という願いも込めて親は付けたのかもしれない。

でも、私にふさわしくないみたい。かけ離れ過ぎている。
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