リナリアの咲く季節には、キミが隣に。
「あの日、実花に呼び出されてさ。泣いてるみたいだったし、居ても立っても居られなくなって」

知ってたよ。南先輩のあんなに焦ってる姿、初めて見たから。

先輩の心をそんなに動かせるのは、実花さんしかいないのも知ってたから。


「……そうだったんですね」

「うん。彼氏と別れたんだって」

実花さんには申し訳ないけど、よかったね、先輩。


「……南先輩。一応女として、私から一つアドバイスします」

「……ん?」

「女性が弱ってるときはチャンスですよ!絶対に、実花さんのそばを離れちゃだめです!」


「……ねぇ菫ちゃん」

「あっ先輩、もうすぐ八時になるんで、私先に教室戻りますね。実花さんのこと、応援してますから」

先輩に背を向けたとき、強がってこらえていた涙が溢れ出して、ぽたぽたと地面を濡らした。
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