キミは掴めない。
「……美瑚ちゃんさぁ。さっさと初恋諦めたら?」
アキちゃんが職員室に戻ったあとで、清瀬くんがわたしにそう言った。
「何をいきなり……」
「だって、俺の前ですらあんな感じってことは、ふたりきりのときは相当甘やかされてんだろ。それなのにあんなにはっきりフラれてさ、不毛すぎねぇ?」
「ゔ……」
清瀬くんの的を得た発言に、返す言葉もない。
小さい頃からずっと、アキちゃんはわたしを可愛がってくれてた。いつも助けてくれてた。
それがもういつの間にか当たり前になってて、アキちゃんを好きになるのだって、もはや必然のこと。
それでも、たぶん。ううん、ほぼ確実に。アキちゃんがわたしを女の子として見てくれる日は来ない。
学校に行けばいつでも会えてしまうこの状況で、実ることのないこの初恋を引きずるのは、たしかに不毛……なのかも。