僕は、空の上から君を見守る
「やばい〜〜落ちる〜〜」
ルーホーは無抵抗に地上に向け落下する。
身体を大きく広げ空気抵抗を増やし
なんとか落下速度を和らげる。
華奢で身長も高くないルーホーは
体重が軽い分、速度は抑えられているが
それでも時速200キロ近い速度で
落ちていれば
ものの3分で地上に激突する。

身体に当たる冷たい空気が意識を奪おうとする。
落下の速度で吸える空気も少なく
低酸素状態にも陥る。
大概の人は空に放り出された段階で
その影響で気絶をし、そのまま命を失う。

しかし、ルーホーは
必ず生きる!という強靭な意識で
着地方法を模索していた。

「大切なのはどこに落ちるのか。」
時速200キロで人の身体が激突した場合、
地面はもちろん
湖や海など水の上に落下したのでも
同じように衝撃を受ける。
森などに落下すれば木々がクッションには
なるのだが
枝が突き刺さるおそれがある。
雪山へ落下して助かった事例は多くあるが
ルーホーが降下している場所に季節も相まって
雪山は存在しない。

地上が近づくにつれて

徐々に雲や微細な浮遊物が
落下する速度の速さを感じさせる。
地上の景色も一気に大きく見えて来る。

「そうだ!確か、僕の街にはアレがあったはず。」

やはり落下をするのであれば
立地を理解している、ブルーの街。
よく知った町並みの
その街の外れの外れ。

大きな川のほとりに位置する場所に
牧場があった。

ルーホーはそこへ目掛け、
点のような着地ポイントへ
確実に照準を合せてる。

「よし!今だ!!」
激突する!
寸ででルーホーは風を地面に向け噴射する。
ビューー!
ジェットのような噴射が速度を弱める。
しかし、身体を浮かせる事すら出来ない
風の流れは落下を止めてくれるわけでもなく

ドカーン!
ガラガラガラ
そのまま建物に突っ込んだ。




ツンツン、、、
「、、、、」
ルーホーを見つけた何か。
ルーホーも暗い瞼を薄っすらあける。
身体全体を覆う柔らかい素材の質感。
どうやらちゃんと生きている事を
ルーホーは実感した。
ツンツンツンツン、、、
「、、、、」
何かに突かれているような感覚はするものの
身体が思うように動かない。

グリグリグリグリ、、、
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