僕は、空の上から君を見守る
「おい!降りろ!!」
命令口調でウォルスを雲から降ろす
ユスティシー。

「ここって!!?」
風警察の雲に乗せされウォルスはパンデモニウムに
連れ戻される。
、、、はずだった。

そこは大きなスクリーンがいくつか並ぶ
無機質な機械に囲まれた場所。
「こちら管制室、、、」
「、、、地区に異変!!」
慌ただしく連絡が飛び交う空間。

「只今インド、100mmの降水中!」
「アメリカは15日連続の日照りがつづいています」
そこは世界の天候を管理する管制室だった。
どう見ても只事ではない雰囲気。

「、、、」
ウォルスはその状況に言葉を失う。
今世界は危機を迎えていた。

そんなウォルスにユスティシーは言葉を掛ける。
「お前なら世界を救えるか!!?」
ユスティシーには考えがあった。
彼はこのまま連れて帰れば大罪人。
もう一度パンデモニウムの最下層に幽閉されるか
それとも処刑されるか、、、。
しかし、大罪の理由を知ってしまったからには
黙って見ている訳にはいかなかった。

「ヒーローになってみろ!!」
それに竜巻を手作業で壊してみせた二人。
彼らならもしかしたら、、、。

ウォルスもユスティシーが言いたい事が理解できた。
でなければワザワザ大罪人をこんな重要な機関に
連れて来ない。
ユスティシーはウォルス達の罪を少しでも軽く
する為に。
「おい!ルーホー。何でこんな大事な時に居ないんだよ。ヒーローになるチャンスだってのに。」

ウォルスはぐるっと管制室を回り
一通り画像をチェックすると、
「まぁ、このまま帰っても一生牢に入るだけ。
やるっきゃないわな!」
ユスティシーの方へ向き直り
快く快諾した。



「この天気は元々の配列からブロックが崩れるように崩れているからで、、、」
ウォルスが導き出した異常気象の答え。
「ここのいらない雲を破壊して、こっちから風を送り込んで、、、」
それから、
ウォルスの考えとユスティシーの指示により
世界の天候は徐々に回復していった。



風の裁判所、、、
「彼らは世界の流れを変え、世界を救ったのです!!」
開かれているのは今回の一連によるルーホーとウォルスの処遇。
その証人に立っているのはユスティシー。


ルーホーは見つかった。
雲の孤島の上で
傷だらけで、、
虫の息。

すぐに病院へ運ばれ、、
出血量が多かったせいもあり
眠り続けている。


彼ら二人は大罪人。
すでに犯した罪にさらに罪を重ねた。
「しかしな、、、」
裁判官もウォルスの功績は理解していた。
確かにウォルスの技術と知識によって
世界は救われた。


「これは!ルーホーに聞いた世界の気候を知っていたからで!」
ウォルスも懸命に訴えた。


ルーホーが人の街を救った功績や
罪を犯した理由も語られた。


確かにルーホーが狂わせた天気は回復し
罪についても酌量の余地はある。
「しかしな、、、」
このまま大罪人を野放しにしたのでは
裁判所は世の中に何と言われるか。

ユスティシーがまくし立てるようにさらに続ける。
「あなた達の立場は分かります。」
「しかし、考えてもみて下さい。」
「彼らをパンデモニウムに幽閉した所で
彼らは竜巻を破壊できます。また脱獄をされるでしょうし、そんな事をされたのではパンデモニウムの存続すら危ぶまれるのではないでしょうか。」

「!!」
裁判官も納得の説得力がある証言。

「それならば、政府の管轄下に置き管理をする。
その方が安全ではないですか!?」
決定打となるユスティシーの一言。
執行猶予でも何でもいい!彼らの罪が
少しでも軽くなれば!
ユスティシーの思いがヒシヒシと伝わる。

「しかし、、、王が何と言うか、、、」
しかし、全ての決定権。
判決に判子を押すのは王。
それはいくら敏腕な警察官。
正義の使徒のユスティシーにもどうしようもない事だった。
空の国の王は罪人に非常に厳しいと有名な
厳格な人なのだ。
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