そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 俺の餌付けが足りなさ過ぎたのは認める。

 何つっても母親頼みだし……他力本願な時点で詰めが甘い。

 うちには4つ年の離れた食い盛りの双子の弟達もいるし、どうあっても常におかずの()り合いが起こる。

 家だって、ごくごく平均的月収のサラリーマン親父と、パートタイマーの母親が支える、いわゆる庶民だし。


 頼綱(あの男)みたいに、いつでも高級なモンを食わしてやるとか()()()()絶対に無理だ。


 けど――。

 負けたくないって思っちまったんだからしゃーねぇじゃん?


 好きだって暴露してしまったのも取り消せねぇし、こうなったら幼なじみの立ち位置をフルに活用して、おばさんだって味方につけて花々里(かがり)を攻め落としてやる。


 一人前の男になってから、とか悠長なこと言ってられるか!


 そう気合いを入れた俺にとっての1番の難敵が、実はあのキザな研修医なんかではなく、他でもない花々里(ターゲット)自身なんだと俺は今、猛烈に痛感しているところだ。


 あそこまでお膳立(ぜんだ)てしたのに芝居だと思うとか。

 どういう思考回路してんだよ、あいつ。

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