そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 ついでにグイッと伸ばされた手で、服の胸元を掴まれて引き寄せられて、後頭部を押さえつけるようにされて……く、唇をっ――。

「っ、んんっ――」

 ひゃーっ!
 ちょっと、待って。
 ちょっと待って。
 私、今、唇を――塞がれてません!?

 彼は私の唇を塞いだまま――そればかりか、わ、割とこう、しつこくないですか!?

 そのままたっぷり20秒近く。

 息つぎ、どうしたらいい系ですかっ。
 しゅ、シュノーケル持ってきてくださいっ。

 とか思っていたら、ようやく唇を離してもらえて……途端、私はヘナヘナと机の上に突っ伏してしまった。

 か、身体に力が入らないっ。
 ……多分酸欠でっ。

 断じて気持ちよくて、とかそういうのでは……ない!と……思い、たいっ。

 思わず顔を伏せてしまったものの、今度は恥ずかしくて前が向けなくなってしまった。

 お吸い物、冷めちゃう……。

 いや、待って。何で今それ?ってことを思いながら、そのままの状態であれこれ考えてみた。

 えっと、今のって――どんなに客観的に見積もっても、キス、で合ってます、よ、ね?
 そ、それもっ、ディ、DEEP(ディープ)な方っ。
 頭が混乱するあまり、苦手なはずの英単語が脳裏をよぎってこれはいよいよ良くないぞ、とか思ってしまう。

 あ、私、同じ文学部でも英米語学科の学生さんのこと、かなり尊敬していますっ!

 って今はそんなことはどうでもよくてっ。
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