そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 途端、腰が抜けたみたいにストン……とその場に座り込んでしまった私に、もう1度先ほど剥ぎ取った毛布をふんわり被せてくれる。


「……花々里。早くトイレに行っておいで?」

 私を抱き起こしてくれながらそこまで言って、不意に眉根を寄せると、

「あと――申し訳ないが、今夜の俺はキミを襲わないって約束が果たせそうにない。……コロコロ言うことが変わって申し訳ないが、自分の部屋で寝てくれるかい?」

 淡く口の端に笑みを浮かべられた私は、胸の奥がチクリと痛んで――。

 気が付いたら「明日からは……一緒に眠れる?」と聞いてしまっていた。


 きっとこのまま自室に戻っても、今夜はなかなか寝付けないんだろうな……。

 どうせなら、頼綱(よりつな)もそうだったらいいのに。

 そんなことを思ってしまって、自分でも驚いた。
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