そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 あんなに眠れないと思っていたのに、自室に戻って頼綱(よりつな)の毛布を抱きしめてゴロゴロしているうちに、いつの間にか眠ってしまったみたい。


 毛布、返す前に洗ったほうがいいよね。
 私のことだからヨダレとか垂らしてるかもしれないし。

 ぼんやりとした頭でそんなことを考えて、再度毛布を抱きしめたら頼綱の香りがふんわり漂って、愛しさと恥ずかしさにひゃーひゃーなった。

 毛布を持ったままコロコロと布団の上で回転した途端、ズキンと頭部が疼いて、「これ完璧に寝不足だ」と溜め息を落とす。


 そうこうしていたら、控えめにドアをノックする音が聞こえてきて。
 ついで「花々里(かがり)さん、八千代でございます」という気遣わしげな声音がかかる。

 私はその声にハッとして飛び起きた。

 うっ。頭痛い――。
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