そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

「ねぇ花々里(かがり)。このまま婚姻届も提出しに行こうと思うんだけど……どうかな? 実は最初からそのつもりで指輪にも刻んであるんだけどね。――今日は……大安吉日なんだ」

 頼綱にじっと見つめられた私は、よく分からないままに小さくコクッとうなずいて。
 そうしてゆっくり頼綱の言葉の意味を考えて、やっと得心する。

 そっか。
 だから今日の日付けが――。

 あれは購入日ではなくて、入籍日だったんだ。

 そう気が付いた私は、にわかに〝いよいよ頼綱の奥さんになるんだ〟という実感が湧いてきて。


 ――私、家に帰り着くころには〝御神本(みきもと) 花々里(かがり)〟になってるの……?


 頭の端っこで、冷静な自分がうっとりとそんなことをつぶやいた。
< 500 / 632 >

この作品をシェア

pagetop