そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 私と頼綱(よりつな)にとって、(うなぎ)は再会後、初めてしたデートで食べた思い出の食材で。

 私と頼綱のファーストキスの味を彷彿(ほうふつ)とさせる特別な食べ物だからだ、って。

 2人でその先へ進む覚悟をバックアップするのに、(これ)ほどピッタリの食品はないと思う。

 頼綱、きっとそれらを踏まえて言ってきたんだ。



「その代わり、今夜は俺にとことん付き合って欲しい。そろそろ……ずっとお預けを食らわされてきた()にもご馳走を食べせて? ――頑張れるかい?」


 大好物の鰻を鼻先にぶら下げられて、ダメだなんて言えるわけない。

 それに――。


 そんな()()()なんてなくっても、私は元よりそのつもりだよ?


 この日を待ち望んでいたのが自分だけだなんて思わないで欲しい。


 ね、頼綱。そんな私の本心あれこれ、ちゃんと分かってますか?
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