そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
***

「あ、あの……」

 鏡の前で何度もチェックしてみたけれど、ノーパン・ノーブラなんて絶対に分かりっこない。

 そう思っていても、そのことを()()()()()()頼綱(よりつな)の前に立つとなると、分かる分からないはまた別の話で。


 モジモジしながら頼綱のそばに行ったら「下着つけてないの、分からないね」とか……わざわざ言わないでっ。


 真っ赤な顔で頼綱を睨みつけたら、「まぁ、そう睨むなよ。第一今回下着を買わなかったの、ある意味()()()なんだから」って私をじっと見つめてくるの。

「え……?」

 下着は買えなかったと謝ってきたのは嘘だったの?

 男の人が女性ものの下着を買うのはハードルが高かったのかな、仕方ないよねって自分に言い聞かせていた私としてはそれ、聞き捨てならなくて。

 思わず「酷いっ!」って抗議したら、「どっちが?」って右手首をギュッと掴まれた。

「痛いっ」

 言ったけど無視されて。
 そのことに頼綱の怒りを垣間見た気がして怖くなる。


「さて、()が何に怒っているのか、と言う話だったよね。花々里(かがり)、お風呂で答えは出せたかね?」

 手首を捕まえられたまま、腰をグッと引き寄せられる。

 そのままスカート越しに裸のお尻を撫でられて。

 私は「ヤダッ、頼綱、やめてっ!」って泣きそうになりながら彼を見上げた。


「ねぇ、花々里。この可愛い口は憎まれ口しかきけないの?」
< 596 / 632 >

この作品をシェア

pagetop