そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜

本文

 ――どうしてこの子は(おれ)の前でこんなにも無防備に眠れてしまえるんだろうね?


 たらふく旨いものを食べさせて、さぁ今から色々話しながら帰ろうかという段になって、助手席の花々里(かがり)が「眠くなっちゃった……」とつぶやいて小さなあくびをひとつ漏らした。


「眠いのなら帰り着くまで休んでるといい」


 目一杯年上ぶって大人の余裕を見せながらそう言ったら、「ありがとう」ってふにゃりと微笑んで本当に目を閉じてしまった。

 ねぇ、花々里。そこは「もうちょっと我慢してみる」じゃないのかね?

 そういうところも花々里らしくて可愛いのだが、やっぱりちょっと寂しいな?とも思ってしまう。



 ほどなくしてスースーと愛らしい寝息が聞こえてきて、俺はどうしようもなくそれが気になって。


 家まで車で15分足らず。

 夜なので昼間より交通量も少ないし、それより早く帰り着いてしまうかもしれない。
< 600 / 632 >

この作品をシェア

pagetop