そろそろ喰ってもいい頃だよな?〜出会ったばかりの人に嫁ぐとか有り得ません! 謹んでお断り申し上げます!〜
 そんなこんなで仕方なく頼綱(よりつな)の後ろにくっついてレジに行って、いざ支払い。
 頼綱が何か戸惑ったらすぐに手助けするつもりでいたんだけれど。


 頼綱は伝票を店員さんに渡してお金をトレイに載せて。

 初めてとは思えないくらいスマートに支払いを済ませてしまった。

 私の教えることなんて何ひとつないよぅって残念に思っていたら――。



「ごちそうさま。美味しかったよ」

 去り際、頼綱が当然のように店員さんに声を掛けたのが聞こえてきた。



「さ、花々里(かがり)、行こうか」

 そうして何でもないみたいに私を振り返るの。


 私は頼綱の店員さんへの自然な声かけにキュンとして。

「ごちそうさまでしたっ!」

 って慌てて店員さんに声をかけて、頼綱の腕にギュッとしがみついた。



 どんなお店に行っても、ちゃんと「ごちそうさま」や「美味しかったよ」ってお店の人に伝えられる。

 高いお店や、馴染みのお店だから言うんじゃなくて、どこに行ってもあなたのそのスタンスは変わらないんだね。


 私、頼綱のこう言うところがたまらなく大好きなんだ!って心の底から思ったの。




    END(2021/08/13)
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