再会した初恋の相手は王様でした！～逃げたい大統領令嬢は若き王様に溺愛される～

1話

友達は綺麗な男の子1

「うーん。夏休みは持って帰る荷物が多くて嫌になるわ……」
　ぶつぶつと少女は呟く。毎日小分けにして持って帰ればいいものを纏めて持って帰ろうとする辺りが、いい加減な性格だと語っている。

「アリアお嬢様、私が持ちますよ」
　グレーのスーツ姿の護衛の男性にアリア様と呼ばれた可愛らしい少女は、首を振る。

「嫌よ！またSNSに護衛を使用人と勘違いしているとか噂を流されるのは！」
　アリアは12歳。ここシルフィード国の大統領であるノア＝パッカード大統領と光の王国ウェリードのヒマリ＝ウェルリース第一王女との間に生まれた一人娘で大統領令嬢である。アリアは明るく元気で前向きな性格であるが、やや適当な所が欠点である。前にも護衛に大荷物を頼んでそれを写真に撮られてSNSに流され痛い目に合った。それはそれは大統領である父に大目玉を食ったのは記憶に新しい。

「それに明日から8月末まで、ウィル神界のウィル神聖王国の王城に行かなくちゃいけないのよ。その荷物は一人で持たなくちゃ。いい練習だわ。良しっと！」
　護衛が車を回してアリアの前に止め、扉を開ける。アリアは後部座席の右側に荷物を乗せて、自分は左側に座る。

「ああ……。明日からウィル神聖王国に行きたくないよう……。イノリめ、変な予言をよこしてから」
　アリアが唸る。

　ウェルリース家の純血のお姫様イノリは、予言の姫でこの世界を司る王となる予定だ。まだ成人していないのでウェルリース家の王女として、生活している。その従姉に当たるイノリに妙な予言をされたのだ。

「アリア、あなた運命の出逢いをするわよ。それも爆発している」
　とケタケタ笑いながらスマホで電話をしてきたのだった。

（爆発した運命の出逢いって何よ！イノリはいつも変な風に解釈するから私、酷い目に合うのよ！）
　過去のイノリの予言に振り回されて何度痛い目を見たことかと指で数えて憂鬱になるアリアだった。