政略婚~腹黒御曹司は孤独な婚約者を守りたい~
「怪我はしてるよ。ほら」

包帯をとると、大きな絆創膏には血がにじんでいた。

「そうですけど」

なんとなく、納得できない。

「信用無いなぁ」

樫村さんは包帯を巻きなおして、すかさず言った。

「壱都さんの日頃の行いが悪すぎるんでしょう」

「こんなに善良なのにな」

なにが善良なんだろう。
私は朝食を片付け、じろっーと見ていると壱都さんはさっと目をそらした。
一応、わざとおおげさに言った自覚はあるらしい。
一番、タチの悪い人間が身近にいるような気がしてならなかった。
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