ご先祖さまの証文のせいで、ホテル王と結婚させられ、ドバイに行きました
 でも、有坂さんをいいと思う人は、きっと他にもいっぱいいるから。

 そのうち、愛人がたくさん押しかけてきて。

 私なんかは押しのけられ、第三夫人とかになってしまうに違いない。

 そう真珠は危ぶんでいた。

 こんな豪華なヴィラに泊まらなくていいし、プライベートジェットにも乗らなくていい。

 あの谷中の、夕焼けどきにはちょっと切なくなるような風景の中。

 縁側から庭先の朝顔を二人でそっと眺めて微笑むような。

 そんな人生を送りたい。

 そう言えば、真逆のキラキラした場所にいるこの人は諦めるだろう。

 そう思い、桔平に言ってみた。

「それ、冬はどうすんだ」
「え?」

「冬は朝顔ないだろう」

「……物の例えですよ。
 っていうか、うちの庭の朝顔、今も咲いてますよ。

 そういえば、朝顔というわりには、夕方も咲いてるんですけどね」

「それ、ほんとうに朝顔なのか……?
 さすがお前んちの朝顔だな」
となんだかわからないが納得される。
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