天空の姫Ⅲ ~二人の皇子に愛された娘~


「陛下どこへ?」

「天帝宮だ。しばらく一人で冷静に考える。」


気鋭はついてこなかった。


天帝宮の扉を法術で閉めるとその勢いからバタンと音が鳴る。


なぜこうなった。


私は白蘭と共にいたいだけなのに。なぜ私の周りから人がいなくなる?


天女様も母上も氷輪も兎月も…そして白蘭も。


どうして私の元からいなくなるのだっ


「っ!」


怒りに任せて水系術を放つと、それは鋭い氷の刃となって婚礼衣装に刺さった。


月影はゆっくりと婚礼衣装に近づき刃を握ると引き抜いた。


氷はとげとげしく手の平に食い込み血が床に垂れた。


青い生地に龍の柄の婚礼衣装。


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