私、今度こそあなたに食べられません! ~戻ってきた俺様幼馴染ドクターと危ない同棲生活~

 私はとっさに周りに人がいないのを確認して、修を思いっきり押したけど、あっさり唇は奪われた。

「んっ、ちょ、待って! だめ! だめ、ここ大学!」
「今俺はせっかく白衣きてるわけだし、リアルなお医者さんごっこでも」
「ホントにやめてぇっ!」

 私は、こんな発言を聞くたびに心底結婚を後悔していたりする。しかも自分がそれに慣れてきていて、それすらも辛い。

 修はそんな私を見てにやりと微笑むと、私の唇を撫でた。

「じゃ、ここで今すぐ食べられるか、家に帰っていつも以上に俺の心行くまで食べられるか。ほら、選べ」

 冗談ではない顔で修は言う。

「え……」
「3秒以内に答えないと、ここですることに決定。3,2……」
「い、家でっ!」

 私が慌てて答えると修がにやりと笑って私の髪を撫でた。

「楽しみだな」
「もう、しらない!」

 私は怒って、交流の件もそのままに研究室を出る。

「今夜、覚悟しとけよ」

 修の楽しそうな声が中から聞こえた。
 私はその声に顔を赤くして、廊下をどしどしと歩く。

「私、今日こそ、食べられないんだからっ!」

 ちなみに、そんな私の決意が貫けた夜は……結婚後、まだ一度もない。


<END>

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