今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

あんなヤツじゃなくて。〜side 蘭〜

「あ!はよ!天音」

「あ、お、おはよう……!」


朝、教室にうつ伏せてた俺は天音の姿が見えて飛び起きた。

……天音、なんか様子がちがう……?


「天音、なんかあった?」

「ふぇ!?な、なななな!なにも、ないぃよっ……!!」


天音って嘘つけないんだな。


「顔に書いてあるぞ」

「ううっ……」

「なにがあったんだ?」


そう言いながら天音の頬を両手で包んだ。

身長的に上目遣いになる天音にきゅんっと胸が高鳴る。


「……く、久遠くんに……」

「……久遠に?」


やっぱり久遠のことで……。


「にっていうか……久遠くんと、喧嘩……しました」

「喧嘩?」


あの久遠と?

天音命って顔に書いてあるようなヤツと喧嘩?


「う、うんっ……」

「天音、教えて欲しい」

「っ……わ、かった……」


それから俺は天音になにがあったのか教えてもらった。


「……それで、婚約破棄したのか?」

「えっ……あーっ……」


天音の焦っている表情から見てちがうと手に取るようにわかった。


「じゃあ早く婚約破棄しろよ」

「そ、それが……お母さんとお父さんも大賛成で、向こうのご両親も……」

「じゃあお前は結婚したくもないヤツとそゆな理由で結婚するのか?」



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