今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

……こんなにいい子が、この世にいたんだな……。


「……ご、ごゆっくり!」


……それから、特に天音ちゃんと会話を交わすことはなかった。


帰り道。


けれど、俺の家庭環境から見出された心の大きな穴は、満たされた気分だった。


「……」


気がつけば、いつも頭は天音ちゃんで埋まっているような気がした。


いままで人に惚れたことがなかった俺に取っては、おかしいほどの衝撃だった。


……あんなにいい子で完璧……でもそれよりも、優しい……。

ああ、好きだなぁ……。






心の中でできたまだ未熟すぎる感情を抑えて、俺は天音ちゃんに再び再会をする——
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