今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

けれど、幼い頃に遊んでいた俺とはわからなかったようだった。


……それでも、天音を自分のものにできるように頑張ろう、と思ったのだが……。

「はぁぁぁっ……」

教室で天音の方を向いていれば、あれだけ可愛い髪型をしながら、さっき月城と指が触れていた。

ありえない。俺はまだ天音に触れてないのに。

それに、本当に可愛い。

朝目があった時は気絶するかと思った。

正直、あのまま死んでも幸福だったと思うほどだ。

……やっぱり、どうしても話がしたい。

蘭とも仲がいいらしいし、さすがに天音にもうそろそろ彼氏ができてもおかしくないだろう。

そんな思いを胸に、授業は終わった。

休み時間、天音が俺の席に来てくれることを願う。「あっ……あのっ……久遠、くんっ……」

「天音……?」

やば、心臓めっちゃうるさい……。

「!しゃ、喋って、くれたっ……!!」

「あ、あのっ……さ、私のこと……嫌かな……?」

「……は?」

狂いそうなくらい好きだ。

「あっ……や、やっぱり嫌、だったよねっ……」

「っ……ちょっ……待て。どこ行くんだ」

席に戻ろうとした天音の細い華奢な手首をぎゅっと握る。

「へっ……!?」

目、潤んでる……。

「だから……そういうんじゃなくて……とにかく俺はお前は嫌いじゃない」

「ほ、本当っ……!?」

「ああ」

「よ、よかったっ……!!」

ものすごく嬉しそうに微笑んだ天音。

あー……もう……なんでそんなに破壊力強いんだよ。

その髪型だって、いつもの髪型ですら可愛いくせに、余計に可愛くなりやがって、俺の前以外じゃやめてくれ……。

「あ、あのさっ……!久遠くん」
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