今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「ハーヤーテ」

「ナーアーニ」

「この間一年のヤツが陽奈に話しかけてたよ?」

「えーぇ誰?」


本当はそんなヤツいないけどー。


「忘れたー」

「ふふっ、ありがとう。じゃあようちゃん、ちょっと覚悟して?」


嘘を吐き散らせば邪魔者は消えていった。


「はわぁっ……!!陽奈ちゃーん!」


可愛い……いまはわって言ったよね?


クッソ可愛いなんだよ。


「天音ぇっ……!!」


手を伸ばし合うふたりを容赦なく僕も颯も引き離す。


「え、えーんえーんっ……久遠くん、ひどいよぉー……」


あからさまに可愛すぎるくらいに泣き出した天音。

チラチラと視線をこちらに向けてきて、これで解き放たれるわけでもなく、その惨めさに愛らしさが爆発をした。


「あー……嘘泣き可愛い」

「ううっ……失敗だぁっ……」

「ふふっ、ねーねー天音」

「な、なぁに」


天音を抱きしめる力を強める。


「今日デートだから、サボってもいーよね」

「……へっ?な、なに言ってるの……?」


あー困ってるの?可愛いなぁ。


「だめだよ!もうすぐテスト期間だし……!!」

「やだね。もうデート行きたい」


今日は遊園地貸し切りにしたし。
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