今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
ただ……とっても可愛らしい、女の子のような子だった気がする。

いや、男の子なんてみんなそんなものか。


「お〜おはよう天音ちゃん」

「あっ、伯斗先輩!」


あ、あれ?珍しいな。

伯斗先輩は普段、高級そうな黒い車に乗って学校にいってるって噂なのに。

普通に歩いて、『たまたま』会ってる。


「おはようございます」


そう言って、ぺこりとお辞儀をした。


「今日も可愛いね」

「もう、からかわないでください。」

「あはは、ごめんごめん」


伯斗先輩は、イケメンスマイルでお上品に微笑んでいる。

「あっ……あの、伯斗先輩」

「どうしたの?」

「伯斗先輩って、そ、その……好きな人、とかいるんですかっ……?」


思わず気になってそう聞いてみる。

でも、この質問は間違えだったかもしれない。

こんな完全無欠な伯斗先輩は、好きな人なんて言ったらとっくに彼女にしているだろうに。


「・・・」


伯斗先輩は目を丸くしている。


「うーん。いるかな」

「えっ……!だ、誰ですか……!?」


や、やっぱり彼女さんなのかな?


「えっとね。天使さまって呼ばれてる人」

「……天使さま……」


誰なんだろう、天使さまって。


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