今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
するとさりげなく凛に近づいてきた。

「お、おい、俺の妹に近づくなっ……!!」

なんだか嫌な予感がする。

不意に凛と弟の来を自分の後ろに隠した。

「あっ……あなたが蘭さんですねっ……!!」

「は……?」

なんで名前知って……。

「よく凛ちゃんと来くんから、強くてカッコいい大好きなお兄ちゃんがいるって聞いてます……!!」

「……で?」

「それだけです……!では失礼します……!」

は……?

思わず声に出しそうになって焦ったが、意味がわからなかった。

こんなに冷たくして、偽りの、ないと思う笑みを浮かべられるものなのか?

「あー!帰っちゃうの〜?」

「ごめんね凛ちゃん……!来くんも、また今度遊ぼうね……!!」

「「わかった……!!」」

「蘭さんも、さようなら」

優しい笑みを浮かべながらそんなことを言う女。

「……もう帰るぞお前ら」

「「はーい!」」

おかしなヤツ。



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