今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。
「そりゃ久遠になれば可愛い天使に見えても普通じゃない?」

「まぁ……」

あの金髪っぽいのに水色の目だったらその通り、か。

あ?

「で、それで傷つけてるって」

わかった気がしたくせに全然わかんねぇ。

「はぁ……だから、幼なじみで久遠は天音のことが好きなのに、天音は久遠のことを忘れた挙句に自分のこと嫌ってると思ってんだよ久遠自身が!!!ったくバカだな本当

こんな喉の力使うならようちゃんにへの愛を語りたかった……」


コイツが異常なのは普通として、そういうことか。

アイツら両想いのくせにイラつくな。


そんなことを話している時だった。


「……先生。日向さんの体調が優れないようなので、保健室に連れて行きます」

「おーお大事にな」


まさかの月城がそう言い驚きが隠せない。

天音、大丈夫だろうか?

心配で仕方がない。

すると、

ボソッと颯が

「嫌な予感がするな」


そう呟いた。

……嫌な予感……?


その数分後だった。

「……先生。だるいんで抜けます」

「お前、理事長の息子だからって調子に乗るな」

「じゃあ」

寝ていた久遠がだるそうに教室を出ていった。

胸がざわつく。



そしてそのまた数分後だった。

「大変!!!天音ちゃんが!!天音ちゃんが階段から落ちたって!!」

クラスの女がそう騒ぎ出した。

落ちた……?


かい、だん……から……。


「っ……颯、俺は天音のとこに行ってくる」

そう言葉を投げ捨てて、保健室に向かった。
< 67 / 257 >

この作品をシェア

pagetop