今日も久遠くんは甘い言葉で私を惑わす。

「昨日はありがとうねー!生徒会仕事手伝ってくれて」

「いえいえ!」


このお方は、現理事長の息子であり、3人目の7人王子さま、昨日私が仕事の手伝いをしていた東方城伯斗先輩だ。


「……天音ちゃん、今日とっても可愛い」

「えへへっ……お世辞でも嬉しい、ですっ……!」

「お世辞じゃないんだけどなぁ〜」


みんな優しいなぁ。

ゆっくりと歩きながら、蘭くんや伯斗先輩と話していると、久遠くんの姿が視界に入った。

嬉しくて見つめていると、ついパッチリ視線があってしまった。

けれど、久遠くんは無表情で通り過ぎてしまった。

ううっ……悲しいっ……陽奈ちゃん、この作戦、失敗だよぉっ……。


「久遠も骨抜き、か……」

「?伯斗先輩?」

「ごめんごめん、なんでもないよ。」

「わ、わかりましたっ……!!」


……久遠くんのことっ……ショックだなぁっ……まぁ、私のことなんて、眼中にない、か……。

悲しい気分で教室まで歩いて行ると、偶然久遠くんとすれ違った。

その時の久遠くんは酷く動揺しているような顔で、耳まで真っ赤になっていた。

……なにが、あったんだろうっ……!?

もしかして、お熱!?

そうだったら大変っ……!!
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