実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
昭和一桁生まれの祖母は、和裁も洋裁も編み物も出来たし、タレとかだしとか
インスタント物は無い時代だったから、全部自分で作っていた。
「あれをお手本にしちゃダメよ。手抜きしなさいね。」
「そう思うんですけど…私、不器用だから…。」
『いったい誰が姪っ子をこんな自信のない子にしてしまったんだか…。』
恐らく育った環境だと思うが、香里はもどかしく思っていた。
「大丈夫。真穂は家事はバッチリ、仕事も順調じゃない。」
「叔母さんだけよ、励ましてくれるの。」
「あたしは貴女の味方だから、何かあったら言ってよ。」
「ありがとう。もう十分甘えてるよ。明日もよろしくお願いします。」
香里と別れてからは、買い物が順調に進んだ。
メニューが決まると何を買うか迷わなくて助かった。
『お父さんと正反対の性格だものね、叔母さんは。』
思っている事をハッキリと口に出してくれる香里が真穂は大好きだ。
大量の食料品や日用品を車に乗せて、好きな音楽を聴きながら帰った。
狭い車の中が、真穂が自由になれる唯一の空間だった。