実らない恋だとしても… あなたへの想いが溢れそうです
得手不得手


「たっだいま~!」

予定していた時間通りに充と美穂が帰ってきた。

「お帰り、手を洗ってうがいしてよ。」

「ハーイ!」
「マーねえ、お腹空いた~。」

「すぐにご飯にするからね。」

「おやつがいい~!」
「ダメっ!みーくん、今日は花まる(・・・)もらえなかったでしょ?」
「美穂がチクった~。」

二人が帰宅すると、急に家の中が活気付く。

「デザートにって、お母さんがロケ先から日向夏送ってくれてるよ。
 充、好きでしょ。デザート食べたかったらおやつはガマンしてご飯にしよう。」

「やったぜ!お母さん、どこ行ってるんだっけ?」

「九州だよ。宮崎かな?」

「美穂はチョッと酸っぱいからキライ~。」
「そう言うと思って、美穂にはゼリーにしておいたよ。」

「ありがと、真穂ちゃん。大好き!」

妹はあざとい。姉は、『大好き』に弱いと知っているのだ。
まだ小学一年生なのに、きっと将来は大物女優になるだろう。



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