あなたに、キスのその先を。
日織(ひおり)さんのお尻の感触を味わいたかったのに、残念です」

 だっ、だから無理なんですっ。

 エッチなことをおっしゃる修太郎(しゅうたろう)さんのほうを見上げて、彼を睨みつけようとしたら、(あご)を捕らえられてそのまま唇を(ふさ)がれた。

「んっ」
 未だキスの初動で戸惑ってしまう私に、修太郎さんは優しく角度を変えては浅い口付けを繰り返す。
 私が慣れてきたのを見計らったように、口付けの角度が深くなった。
 修太郎さんに翻弄(ほんろう)されながら、その感触を追うように彼の求めに応じているうちに、自然と呼吸が出来るようになる。
 私はまだまだキスが下手だけれど、それでも苦しくて息を詰まらせることはなくなった。

「お上手です」
 私の唇を濡れ光らせる唾液を指先でそっと(ぬぐ)われてから、修太郎さんが満足げに微笑まれた。


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