私のおさげをほどかないで!
お引っ越し
 1月も終わりに差し掛かった頃。

 コンビニからアパートまでの通り道にある古い一軒家の前に、引っ越しトラックがとまっていて。
 道に面した間口が狭い割に奥行きの広いその土地は、門扉から見ると、建物がかなり奥まった所に建っているように見える。

 いつから空き家だったのかは分からないけれど、少なくとも私がここからそんなに遠くないアパートに住み始めてからはずっと住む人に恵まれない家だったはずだ。
 そこに、誰かが移り住んでいらしたんだな、とぼんやり思って、こんな古い家を直すのは大変だろうなぁとついでのように思う。

 そういえばこの家、売り家と貸し家の両方の札が立っていた。新しい住人は、ここを買ったのかしら。それとも……。

 庭には草が我が物顔で伸びて立ち枯れていて、庭木も剪定されないままに伸び放題。
 きっと建物の手入れと同時進行で、こっちも何とかしないといけないに違いない。
 草とか木とかあまり伸びるに任せていたら、家の中が暗くなって何だか怖そうだし。

 悪い癖で、自分には関わりのないことなのにふとそんなことを思ってしまう。
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