私のおさげをほどかないで!
「向井さんは彼氏とかいないの?」
少しお客さんの切れ目があって、仕事にゆとりができた時、世間話でもするように河野さんに問いかけられた。
「あっ、えっと……ご覧の通りの干物女ですので」
自嘲気味にえへへって笑ったら、「分かってないなぁ」ってつぶやかれた。
「え?」
意味が分からなくてキョトンとしたら、「ねー? 緒方さん、貴女もそう思うよね?」って。……ん? どういう意味?
「向井さん、お化粧っ気も飾りっ気もちっともないけど……目、すごくぱっちりしててまつ毛も長くてクルンとカールしてるでしょ? 唇もそんなに厚みがあるわけじゃないのに何だかつい触ってみたくなるような愛らしさがあるよ?」
って……えっと、それは……誰のお話ですか?
「あー、それ私も初めて向井さんのお顔見た瞬間から思ってました。何もしてないのに素地がいいの、ズルイなぁって」
まるで援護射撃のように緒方さんがそう言って。
私はめちゃくちゃ戸惑ってしまう。
「あ、あのっ。でも私、今まで彼氏とかできたことないですし……男性とお話したことすら……」
話すことがあるとすれば事務的な会話のみ。
あとは子供の頃によく男子から意地悪をされた記憶しかない。
私だって一応女の子の端くれ。
素敵な男性がいたらお付き合いしてみたいとも思うけれどご縁がないんだもの。
初恋の人、のぶちゃんは私のことなんて妹ぐらいにしか思ってないだろうし。
最近事務的なこと以外で話した異性といったら……もっぱらあの男!
鳥飼奏芽!!
彼にからかわれて迷惑しているぐらいしか思い浮かばないのよ、本当……。
少しお客さんの切れ目があって、仕事にゆとりができた時、世間話でもするように河野さんに問いかけられた。
「あっ、えっと……ご覧の通りの干物女ですので」
自嘲気味にえへへって笑ったら、「分かってないなぁ」ってつぶやかれた。
「え?」
意味が分からなくてキョトンとしたら、「ねー? 緒方さん、貴女もそう思うよね?」って。……ん? どういう意味?
「向井さん、お化粧っ気も飾りっ気もちっともないけど……目、すごくぱっちりしててまつ毛も長くてクルンとカールしてるでしょ? 唇もそんなに厚みがあるわけじゃないのに何だかつい触ってみたくなるような愛らしさがあるよ?」
って……えっと、それは……誰のお話ですか?
「あー、それ私も初めて向井さんのお顔見た瞬間から思ってました。何もしてないのに素地がいいの、ズルイなぁって」
まるで援護射撃のように緒方さんがそう言って。
私はめちゃくちゃ戸惑ってしまう。
「あ、あのっ。でも私、今まで彼氏とかできたことないですし……男性とお話したことすら……」
話すことがあるとすれば事務的な会話のみ。
あとは子供の頃によく男子から意地悪をされた記憶しかない。
私だって一応女の子の端くれ。
素敵な男性がいたらお付き合いしてみたいとも思うけれどご縁がないんだもの。
初恋の人、のぶちゃんは私のことなんて妹ぐらいにしか思ってないだろうし。
最近事務的なこと以外で話した異性といったら……もっぱらあの男!
鳥飼奏芽!!
彼にからかわれて迷惑しているぐらいしか思い浮かばないのよ、本当……。