私のおさげをほどかないで!
「お兄ちゃんこそ凜子(りんこ)さんに嫌われないようにしっかり説明しなきゃ知らないんだからねっ!」

 ちょっと髪型が変わったぐらいで凜子の気持ちが離れるとは思っちゃいない。

 けどまぁ、無断でやっちまったし、そこはちゃんと納得してもらえるよう説明しないとな、とは思ってるさ。

「ああ、言われなくてもわかってるよ」

 言って、「じゃ、俺帰るわ。またな」と、音芽(おとめ)に背を向けた。


 この美容室と音芽たちの家はそんなに離れちゃいない。

 俺が送ってやらなくても、十分歩いて行き来できる範囲だろ。

 それに、俺が気にしなくても、音芽にはハルがいる。

 俺はもう、凜子のことだけ考えていればいい。
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