私のおさげをほどかないで!
「あー、でも! バスローブ脱がしてみたら何も付けてなかったってぇのも、意外でよくね?」
 ってもぐもぐしながら付け加えてくるんだ。

 ああ、それもすげぇ分かる。

 何かそうされるとさ。
 今度は相手が恥ずかしがり屋な子であればあるほど、自分と肌を重ねる覚悟をしてくれてんのかな?って思えてグッとくるっちゅーか。


 お返しに、とハルから差し出されたカレイの煮付けを一口もらいながら思わず顔がにやけそうになった。


「――裸にタオルは?」

 俺が煮付けを飲み込むのを見計ったようなタイミングでハルが聞いてきて、俺はちょっと考える。

「それは少しこなれてきた頃……だろ」

 茶をすすって一息ついて……少し間をあけてからそう言ったら、「うっわ、奏芽(かなめ)、お前案外贅沢だな」とか。


 何だよ。俺の音芽(いもうと)に限って初っ端からそういう格好で、とかなかっただろ?

 ちょっとソワソワする言い方すんの、やめてくんね?


 思いながらハルを睨んだら、「馬鹿っ! 言っとくけど音芽(おとめ)はそんな格好で出てきたことねぇからな!?」とか。

 想像すんなって言っといて、がっつりバラすなよ、ハル。
 音芽に怒られるぞ?
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