ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
 蒼斗と目を合わせてにこーっと微笑み合っていると、なぜか蒼さんも立ち上がった。

「代わろうか?」

「へ?」

 なにを言っているのか理解できなくてキョトンとした。

「いや、大変そうだから、俺が蒼斗を抱こうかと思って」

 唐突な提案だという自覚はあるのか、どこか歯切れが悪い。

「あー……ありがとう。でもそれなりに人見知りするし、今はとくに体調が悪いから、たぶんママがいいと思う」

 少し申し訳ない気持ちになりながら伝えると、蒼さんはわかりやすく肩を落としてソファに座り直した。

 彼は今なにを思っているのだろう。

 子供の名前や生年月日を知りながら深く追求してこないのは、真実を明らかにしたくないから?

 蒼斗の高い体温が伝わって服の下に汗がじわりと滲むのを感じながら、かつて心の底から愛した人を複雑な思いで眺めた。
 
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