ママになっても、極上ドクターから独占愛で迫られています
「飲むか?」

 蒼さんは紙パック上部の両端にある三角の部分をベリッと剥がし、ストローをさして小さな手にそっと持たせた。

 口付けた瞬間から、蒼斗は真剣な表情で必死にストローを吸い上げている。

 よかった。機嫌もいいし、ジュースを飲む元気もある。

「みちるも休憩しなよ」

 すっと差し出されたペットボトルのアロエジュースを目にして、心臓がぎゅうっと締めつけられた。

 私が酸っぱい飲みものが好きなのをまだ覚えていたんだ。

「ありがとう」

 感情を表に出さないように気をつけて、寄り添うように蒼斗の隣に腰を下ろす。それから小さな声で尋ねた。

「子供にあげるとき、どうしてこの三角部分をつまむように持たせると知っているの?」

「向こうの病院で子供に触れ合う機会が多かったんだ。これくらいの子供が普通に持つと、中身が勢いよく出て悲惨な状況になるよな」

 研修中、小児脳神経外科について学んでいたなんて知らなかった。

 あたり前だよね。交際していたのは二ヶ月に満たない。僅かな期間で私が知れたのは、彼のほんの一部にすぎないのだ。
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