一途な外科医は彼女の手を繋ぎ止めたい

エピローグ

冬哉さんにプロポーズされた後、家族は大騒ぎだった。
まさか私が原島総合病院の御曹司と結婚するなんて、と。

私自身、彼が御曹司だなんてあまり意識したことはない。

出会いは突然に、キキが引き寄せてくれたもの。

お兄ちゃんは歯軋りしながら悔しがっていたが、他の男はもっと考えられないと渋々了承してくれた。

両親はお兄ちゃんの喧騒を見ていたせいか、かえって落ち着いてしまったようだった。

おばあちゃんにはとても喜ばれ、冬哉さんの目の前で「ひ孫まで見てから死にたい」なんて話してしまっていた。

冬哉さんは「ひ孫はそのうち見れますから、長生きして下さいね」なんて返していて私の方がどうしていいか困ってしまった。

冬哉さんのご両親にも認めてもらえたが、もともとロンドンでオペの技術を磨く予定だった冬哉さんにどうするつもりか、と問われていた。

「由那さえ良ければ連れて行きたいと思っている」

初めて聞く海外での話に驚いたが、私は冬哉さんについて行きたいと思った。
冬哉さんが私を見つめて来たので、深く頷いた。

「微力ですが彼のことを支えたいと思います」

私の言葉に冬哉さんは喜び、両親の前なのに抱きしめてきた。

「ちょっと!恥ずかしいですって」

そんな冬哉さんの様子に両親は苦笑いを浮かべていたが結婚を喜び、私を迎え入れてくれた。

慌ただしく挙式の準備が進められ、私たちは今日、無事に式をあげることができた。

私たちの人生は今同じ道で繋がった。
このまま道が分かれることのないように、私も彼も強く誓った。
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