冷徹弁護士、パパになる~別れたはずが、極上愛で娶られました~

 想像すると胸が締めつけられるが、それでも今はあの頃のようにお母様の言い分を鵜呑みにはできない。私には至さんが必要だ。もちろん成優にも。

 あきらめちゃダメ。なんとかわかってもらうの。真剣に話し合えば、きっと道が見つかるはず――。

 その時は承諾の返事だけして、数日に再び連絡を取り合い、改めて会う日時や場所を決めた。

 お母様に会うのと同じ日に、偶然至さんから誕生祝いの提案をされた時は複雑な気持ちではあったけれど、了承した。お母様となんとかわかりあって、晴れやかな気持ちで誕生日祝いがしたいと思ったのだ。

 お母様とのわだかまりはゆっくり溶かしていけばいいと思う反面、いつも心に引っかかっていたのは事実。

 この状態ではふたり目を望む至さんの気持ちにも応じづらく悩んでいたところだったので、ちょうどよかったのかもしれない。


 電車を降り、真夏の日差しを日傘で遮りながら、教えられた住所を頼りに住宅街の中を歩く。大きな家ばかり並んでいるので、裕福な家庭が多そうだ。

 至さんの実家は、確かこの角を曲がってすぐ――。

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