4人のお兄ちゃんは王子様!?
解熱剤
≪結衣side≫




太陽さんが病室を出て行って10分くらい経った頃、部屋中に携帯のバイブレーション音が響き渡った。


わっ!!ビックリした!!



結「これ…太陽さんの忘れ物…」


電話なってる…。

さすがにまだ届ける元気はないし…
かと言ってナースコールを押すのは違う気がする……。

すると切れてしまった電話。


結「止まった…。」



しかしまたすぐに鳴りだした電話。

どうしよう……。

でも急用だったらいけないよね!

太陽さんの携帯だけど勝手に出ちゃった方がいいかな。

もしかしたら琉生お兄ちゃんかもだし。




私は太陽くんの携帯にかかってくる電話の通話ボタンを押した。




結「もしもしっ!あの…太陽さん今お仕事中でして…えと…もう少ししたらきっと取りに……」








『結衣か?』














その声を聞いた瞬間、涙が溢れて止まらなくなった。






ずっと聞きたかった声。




ずっと…ずっと……。

聞きたくてしょうがなかった声。









結「大雅兄……っ。」






ずっと話したかったよ。



私は弱くて限界になっちゃったけど…


たくさんたくさん頑張ったんだよ。


大雅兄とも喋れなくて


誰にも頼れなくて


なかなか話せなくて……


それでも頑張ったんだよ。



私は色んな思いが込み上げてきた。








大『ずっと連絡も来なくて心配してたんだぞ。』

結「ごめん…ごめんねっ。」

大『具合は?……ごめんな。そばに居てやれなくて…』

結「ううん。大丈夫!たいした事ないから。」

大『お前は相変わらず嘘が下手だな。』





それからしばらく私は大雅兄と電話をしていた。

電話越しの声は今までと何ひとつ変わらずとても優しくて…面白くて…



会いたい気持ちが増してしまう。


会いたい…


会いたいよ……。



 
でもそんなわけにもいかないもんね。

大雅兄だって1人で頑張っているんだもん。




しばらく電話をするとその声で安心したのか私はいつの間にか電話をしながら眠ってしまっていた。

 

榊さんが来てから夜中もずっと私の部屋の前にいた事に気付いていた。

だからこそ夜はなかなか眠れなくて…

ここ1ヶ月私は寝不足が続いていた。



そんな日々が嘘かのように私はぐっすり眠っていたのだ。



大雅兄の声が聞けただけでも幸せで…

本当に本当に幸せで。



心がいっぱいのまま夢の世界へと引きずり込まれた。





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