4人のお兄ちゃんは王子様!?
≪大雅side≫




土曜日。午前中。

俺は結衣の様子を見に病院へとやって来た。


廊下を歩いているとガシャン!と何かが落ちる音が聞こえた。


結衣の部屋からだ。


俺は病室へ走った。


大「結衣!!!」


……様子がおかしい。

琉兄は普通に退院できるだろうと言っていたが…

明らかに喘鳴が聞こえるしグッタリしている。





俺はすぐに琉兄に連絡した。


大「ん?なんだ…この点滴。」


昨日琉兄の部屋の本で見たやつ……

これ…普通喘息の人には使わないやつだよな。

喘息を悪化させる原因になるかもしれないから。



何でこんなものが。



俺はクレンメをカチッと回して、点滴を止めた。



大「結衣起きろ!吸入器呼吸に合わせて入れてやるから頑張って息吸って。」


俺は結衣の呼吸に合わせて吸入器を吸わせた。

少し落ち着いたようだった。



琉「大雅、結衣。どうした!」


大「どうしたはこっちのセリフだよ。結衣退院出来るんじゃなかったのかよ!」


琉「なんだよ。この薬…。一体誰が…」

琉兄は混乱しているようだったが急いで点滴を外していた。

結衣はさっき起こしたからかうっすらとは意識があるようだ。


琉「ごめんな。苦しかったな。……ちょっと音聞くぞ。」


大「一回だけ吸入した…」

琉「そうか…じゃあもう一回だけ吸入頑張ろうか。大雅お願い出来るか?」

大「いいけど……」


琉「じゃあ頼む。多分一回吸入すればだいぶ落ち着くと思うから。」


琉兄はすぐに部屋を出て行った。

多分心当たりがあるんだろう。




再び吸入させると結衣はだいぶ落ち着いたみたいで少し笑顔が見れた。



フニャンと微笑む弱々しい笑顔だったが…。






大「じゃあ、そろそろ少し休んだら?」

俺がそう言って立ち上がり布団をかけてやると結衣は俺の服の裾を掴んで言った。

結「えと……大雅兄…あの……もう少しそばに居てくれたら嬉しいな…なんて。……迷惑だったら大丈夫なんだけど。」

結衣は少し申し訳なさそうに言った。

迷惑…か。

迷惑だなんてそんな事…あるわけねぇのに。


声も手も振るわせて…大丈夫なわけねぇのに。

なんでこいつはこんなに…。



大「大丈夫じゃねーだろ?しばらくそばに居てやるから、眠かったら寝ていいよ。」

結「ありがとう」


最初からそばに居て欲しいって言えばいいんだよ、こいつは。


全く。こいつは本当……放っておけねぇな。





大「そういえばお前のいつも一緒にいる2人も心配してたぞ。」

あのヤンキー2人毎日俺のトコ来てちょっと迷惑だったぜ…


結「うん。連絡とった。ありがとう!大雅兄も大変だったよね。ごめんね。」

結衣は少し申し訳なさそうに言った。


何でだろうこいつはいつもこうなんだろう。

自分が悪いわけじゃないのに謝って。




そんな話をしているとドアからコンコンと叩く音が聞こえた。

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