記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
「一緒にいる。」
おそろいの結婚指輪。
紫苑は自分の手と私の手を重ねて、ふたつの指輪が交わるのをじっと見つめる。

離れたくないと強く想ってくれている紫苑。
この指輪をふたつ自分で持っていることをどう思っていたのだろうか。

想像するだけで胸が痛む。

今は思い出せていない。
彼を愛していた時の気持ちも。
辛い思いをした私がどんな思いで再びニューヨークへ来たのかも。

でも、これ以上彼に苦しい思いもつらい思いもしてほしくない。
これだけは、今の私も、私の中に眠る私も、同じ想いだった。
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