記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
少しして、タクシーが止まったことに気が付いた私が目を開ける。

そこには想像と違った世界が広がっていた。

「え・・・?」
想像していたのは、少し前に見た街並みの中にあった古いマンション。

でも少し冷静に考えて思いだした。
夢の中で見た部屋はリビングに大きな窓に囲まれていて、街を一望できるような高さだった。

私と紫苑が乗ったタクシーが着いたのは、高層マンションの前だった。

『地下の駐車場にいれてください。エレベーターで移動するから。』
流れるような発音の英語で紫苑がドライバーに話しかけるとドライバーは快く頷いてタクシーを動かした。

「歩けそう?」
紫苑が目を開けた私の方を見る。
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