記憶喪失の妻は一途な夫(外科医)に溺愛される
退院してから1週間が過ぎた。
今日は週末。

私の夫である紫苑は、この1週間仕事を休んでくれている。
その間にも、学会で発表する資料を作ったり、連絡が来て、患者のことについて何やら英語で話していることがあった。

けれど、この1週間は私につきっきりで、家事もほとんどこなしてくれている。
仕事をしている時も、常に視界に私の姿を置いて、様子をみてくれたり、定期的に私のお腹に触れて赤ちゃんの状態を確認したり、私の体調をチェックする。

時々、夫ではなく医者の顔になっているのは、それだけ私を心配してくれているからだろう。

この1週間は私はほとんど家事をしていない。
少しでも何かやろうとすると紫苑がすかさず私をとめに来る。

まだ頭痛が残っている私を気遣って、なるべく安静に、体を休められるようにと工夫してくれていた。
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